「…ホントに寝ちゃったし…」
自分の肩に頭をもたれさせてすやすやと眠る少女の顔を見ながらロロは小さく呟く。
リビングには響く音は時計の針の音と彼女の小さな寝息だけ。時計は深夜2時を指している。
ソファーの上で毛布にくるまった二人の事の始まりは、まだ帰らない兄を待つことにしてからだ。
なんとなく眠くならないロロは、リビングでぼんやりしていた。しばらく待てば兄も帰ってくるかと、その頃には眠くなってくるかも、などと考えながら。
それを見つけたナナリーにどうしたのか問われて、うっかり眠れないと言ってしまったものだから、私も一緒に起きてますと言い出されて。
付き合う必要はないと散々訴えても意外と頑固な彼女は譲らなかった。ロロ兄さまばかり夜更かししてずるいですと言われれば、言葉につまった。
(彼女は幼い頃兄から規則正しい生活をするようにいいつけられていたそうで、それは今も真面目に守られているようだ。)
正直、ロロは未だにナナリーに対してどう接すればいいか戸惑う事が多い。
あまりにも、警戒心がないと思う。
もともと一線を越えれば人なつっこい性格らしいと聞いたような気もするけれども。でもだ。
だいたい自分は彼女の居場所を勝手に奪っていたわけで。詳しくは事情を知らないとはいえ、恨み言を言われてもしかたないと思っていたのに。お兄さまが増えて嬉しいだなんて。


肩にもたれて寝ているのがなんだか窮屈そうに見えて、自分の膝に頭をのせさせた。
その髪に触れる。眠っている妹は気づかない。
―兄さんは警戒心の塊みたいなのにな…
ひとつ、溜息をついた。
たぶんきっと、喜ぶべきところなんだ。まるで本当の兄弟のように慕ってくれるのは。
それなのにこのモヤモヤはなんなのだろう。
ここで3人で暮らすようになって、二人は自分を兄弟と思ってくれて、これ以上幸せなことはないハズなのに。

心のすみにある、彼女に関するとうずく気持ちが何なのか。彼はまだわからなかった。


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外国の人はリビングの床の上では寝ころがらんだろうと思って。
絵と文章ちぐはぐですみません(それを言ったら文章のつたなさが…)